Т儻についての日本人の意識

 「日本の田舎の人は外国人の旅行者にとてもフレンドリーだと、外国の若者はよく話している。これは、市民として来訪者を受け入れる文化が育っていると考えてよいか」という質問をいただきました。これは、微妙な問題です。
 日本人は総じて外国人に親切な「はず」です。外国からのバックパッカー達にもいやな顔する日本人が多いとは思えません。しかし、日本に滞在する外国人の方々にヒアリングすると「自分たちが拒否されている。例えば夜中に旅館にたどり着いても、満室だといって断られる」というような体験が語られ、それは「差別だ」とまで受け取られています。これは欧米人旅行者の指摘ですが、アジア人旅行者からは「アジア人だと露骨にいやな顔をされる」という指摘があります。現実に、内閣府の昨年11月の調査では「外国人が来てほしくない」と答えた人は32.4%に達しました。犯罪が増え環境が乱れるからという理由です。フレンドリーな日本人の、この微妙な拒否感覚は、残念ながら少なからず存在しているようです。「日本人は外国人との接触が少ないので扱いに慣れていないんですよ。差別じゃありません」と、理解を求めようとしても、「あれは差別です」と、彼らは言い切ります。
 私が座長を務めた「都市観光活性化推進会議・プロモーション部会」でもこの議論がでました。兵庫県での「外客」(外国人来訪者をこう呼びます。いやな響きです)に関するシンポジウムでも同様な指摘がありました。
 日本人は、外国からの来訪者(日本の他所からの来訪者でもまったくおなじです)を「邪魔しないで自由にさせる」ことが、観光対策だと思っているらしいのです。これは間違いではありません。自由な出入国の確保や安全な環境づくりに関しては、日本はハイレベルです。確かに言葉や標示の問題や、物価の高さや、習慣の違いはありますが、かつて英語も不得意で、1ドル360円もしたのに、日本人はアメリカやフランスへ盛んに出かけていき、それほど不満もなく観光したものです。日本が言葉は通じないが安全な国だと言うことは、外国人は知っています。ではその次に、外国人旅行者に積極的に便宜を図っているかというと、そうではありません。観光施策というのは、実は、ここのところが重要で、外国人に布団での眠り方を教えてやる、風呂(温泉)の入り方を教えてやる、いざというとき病院や警察の面倒をみてやる、といった「一歩踏み込んだ対応」が必要なのです。この対応は、「来てほしくない」と思っていたら、できるものではありません。一言で言うと、残念ながら、観光というものに対する意識の低さです。
 都市も市民も「観光意識」がない。魅力ある都市でありながら、親切なマインドの市民でありながら、観光がうまく行っていないんです。小泉首相が「観光立国」を打ち出しました。小泉さん、「日本に魅力がないのではなく、魅力を積極的にみてもらおうする意識がない」、これが問題なんですよ。
  
 

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