4儻は「まちづくり」になるか(2)

 観光資源を新しくつくるか、埋もれていたものを掘り起すかして観光客を呼び寄せようという「観光行政」を考えて見ましょう。魂胆は、観光客の宿泊とそれに伴う消費によってまちの経済規模を大きくすることです。かつては工業団地の造成で雇用と消費を拡大しようとしたのですが、いまや生産の空洞化で絵に描いた餅です。そこで「観光」に注目するのですが、大阪市が海遊館やUSJをつくって集客力をたかめようとするのもこの発想です。しかし、各地にうまれたテーマパークが、TDRの一人勝ちといってもよく、経営的に惨めな状態であることはご存知でしょう。仮に集客施設が赤字で公的資金の対象になっても、その都市にそれを上回る観光による経済効果をもたらすのであれば肯ける施策かもしれません。つまりは、そのまちが観光需要を受けとめる構造になっているかという問題です。
 「観光によるまちづくり」を考えるとき、観光資源づくりと同時にまちづくりが重要な課題になります。ここで早まってはなりません。観光地化がいつでも最善だとは言えないのです。兵庫県の龍野市には龍野城というおしゃれな城郭があり、周辺には武家屋敷や古寺が集積して味わい深い環境が存在しています。三木露風の詩の童謡「赤とんぼ」が似合うまちです。しかし、周辺に観光需要を受け止める宿泊施設や商店はほとんどありません。逆に、古城下をしのばせる上質の住宅地が形成されています。私はそれでよいと思っています。龍野市の経済活動を判断して、観光資源を活かして消費に結びつける必要が出てきたときにそれを検討すればよいのです。
 日本の都市には、観光資源をもっと積極的に活用して集客を図るべき都市と、集客にこだわるべきでない都市があります。東京や大阪、名古屋、横浜や神戸、京都、札幌、仙台、広島、福岡といった大都市や多くの地域の中核都市は、観光需要の掘り起しがまだまだ不足しています。東京は世界戦略として、地方の都市は地域活性化の拠点として、観光による経済効果を拡大すべきです。それは、ニューヨークやパリやベルリンといった世界を代表する都市がとっている都市戦略と同じです。私は、日本観光協会の都市観光活性化推進会議の委員をやっていますが、日本の都市が観光需要に対して認識があまりにも浅いことに嘆いています。北は根室市から南は石垣市まで、本来なら獲得をしてよい観光需要を認識の不足から取りこぼしているといえます。
 しかし、地方の小都市までもが無定見に観光開発と称して集客のまちづくりをやるのには疑問があります。もちろんそこに温泉があったり、スキー場があったりする場合は、そこへの集客を図るのは重要です。そうではなくて、田舎まちの中に、突然、外国の建築デザインで通りを造ったり、テーマパークや商業集積を無理やりつくるのは無謀です。大切なことは、適切な数の観光客を適切に迎えて、自分たちのまちづくりに活かしていくことです。(つづく)

Leave a Reply