観光は「まちづくり」になるか(1)

 「観光によるまちづくり」が、各地でさかんです。「観光客が多く来る→お金をおとす→まちが繁栄する」という図式を頭に描いて、どの自治体の長も「観光振興」を叫んでおられるように思います。はたしてそうでしょうか。いわゆる観光地で観光客数が落ちている場合は、旅館・ホテルを核にした需要が落ち込むので、観光地の観光振興が重要なことな言うまでもありません。しかし最近は、新しい観光資源を発掘していままで観光地でなかったところも観光地にして観光需要を掘り起こそうという動きがあります。たとえば、昨年のNHK大河ドラマ「宮本武蔵」にかかわる観光地ですが、武蔵は全国をうろちょろしたので関東から九州まであちらこちらに武蔵観光地が突然生まれました。私がプロデューサーを努めた兵庫県では「武蔵の播磨生誕説」をおもてに掲げて奮闘しました。それで姫路城への来訪者も増えました。生誕地としてすでに定説となっている(ホント)高砂市に記念の展示館も生まれました。しかし、武蔵観光需要を独り占めしたのは、やっぱり岡山県の美作・大原町で、ここには数十年前から武蔵の里という観光地が建設され、食堂あり風呂ありで、年間15万人程度の観光客を招いていました。NHKの大河ドラマで、おそらく3~4倍の需要を享受したのではないでしょうか。
 NHK大河ドラマで観光需要を掘り起こすためには、需要を消費というかたちにする装置がなければなりません。それがあったのは、全国の武蔵関連資源のなかで岡山県大原町だけなんです。一昨年の「利家とまつ」では、石川県を中心に「観光需要受け入れ施設」がつくられ、そこそこの消費創造に成功しました。
 「観光によるまちづくり」というのは、このように、いままで観光地でなかったところに観光需要を喚起して消費を実現することなのでしょうか。(つづく)

Leave a Reply